『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』あらすじネタバレと感想

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いわゆるマカロニ・ウエスタンのファンなら誰もが知るセルジオ・レオーネ監督。

その巨匠が手掛けた、本物志向のハリウッド西部劇『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』が、製作から50年以上を経た今、完全オリジナル版として日本公開されます。

この往年の大作を映画館で観られるとあれば、生粋の映画ファンなら間違いなく心躍ることでしょう。

それくらいの魅力が隠された本作について、詳細に解説してみたいと思います。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」予告編

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』作品情報

【原題】

C’era una volta il West(英題:Once Upon a Time in the West)

【公開日】

2019年9月27日 ※『ウエスタン』としての公開は1969年10月4日

【監督】

セルジオ・レオーネ

【キャスト】

チャールズ・ブロンソン、クラウディア・カルディナーレ、ヘンリー・フォンダ、ジェイソン・ロバーズ、ガブリエル・フェルゼッティ、フランク・ウルフ、ウディ・ストロード、ジャック・イーラム、パオロ・ストッパ

【本編尺】

165分

【作品概要】

1969年10月4日当時に『ウエスタン』という邦題で公開された本作が、オリジナル版としてリバイバル公開されることになりました。

監督は、クリント・イーストウッド主演『荒野の用心棒』(1964)、『夕陽のガンマン』(1965)、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966)の通称“ドル箱三部作”で知られるセルジオ・レオーネ。

彼が敬愛する名優ヘンリー・フォンダの出演によって実現した本作は、後の『夕陽のギャングたち』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と共に“ワンス・アポン・ア・タイム三部作”とも呼ばれます。

 

その作風はこれまでのようなアクション主体のマカロニ・ウエスタンとは異なり、ハリウッドの伝統に帰結したかのような重厚感のある本格的な西部劇となっています。

ヨーロッパや日本ではヒットした本作ですが、アメリカ本国では、アメリカの良心を象徴する存在とされたヘンリー・フォンダが悪役を演じたことから、多くの観客から受け入れられなかったと言われています。

しかし、2005年に『TIME』誌で発表されたベスト映画100本の中に選出されていることからも、作品としての評価は高いものだったことを裏付けています。

 

そして特筆すべきは脇に名を連ねるスタッフの面々でしょう。物語の原案に携わったのは当時の新鋭監督ベルナルド・ベルトルッチ(『ラスト・エンペラー』)、まだ映画評論家として活動していたホラー界の巨匠ダリオ・アルジェント(『サスペリア』)です。

更には『狼男アメリカン』やマイケル・ジャクソンのヒット曲『スリラー』のPVで知られる、ジョン・ランディスがスタントマンとして参加しています。

これらを知っただけでもハリウッド映画界の歩みをしみじみと感じさせ、鑑賞時の視点を広げてくれるのではないでしょうか。

 

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映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』のストーリー

時は西部開拓時代の黄昏期、アリゾナ州を通る鉄道のうら寂しい駅でのこと。何者かを待ち構えるダスターコート姿の3人のガンマン。

やがて列車が到着すると、ハーモニカの音色が漂い始め、3人はガンベルトに手をかけて辺りの様子を伺います。走り去った列車の向こうにはハーモニカの主である1人のガンマンの姿がありました。

銃を抜く3人。響き渡る銃声。しかし立っているのは1人だけ・・・。ハーモニカの男は瞬く間に3人を倒してしまったのでした。

場面は変わりマクベイン父子が住む荒野の一軒家。西部へ移り住んだ彼らは、マクベインは再婚相手のジル(クラウディア・カルディナーレ)がやって来るのを迎える準備をしていたのです。

ところが、辺りが妙に静まり返っていることに不安を覚えるマクベイン。すると突然、ならず者のフランク(ヘンリー・フォンダ)一味が現れ、容赦なく殺害されてしまうのでした。

そんなことを知る由もないジルは鉄道で最寄り駅に到着します。ところが約束の迎えはいつまで経ってもやって来ません。不審に思った彼女は、駅馬車でマクベインの家に向かいます。

その途上、酒場で休憩していると外では激しい銃撃戦が始まり、やがて静になると1人のならず者が店内に入って来ました。店の奥にいたハーモニカの男は、そのならず者が身に着けたダスターコートを見て何かを悟った様子でした。

そして、ようやくマクベイン家に辿り着いたジルを待っていたのは無残な状況でした。嫁いで来ていきなりの葬儀を済ませた彼女が耳にしたのは、シャイアン(ジェイソン・ロバーズ)率いる山賊どもの仕業だという情報でした。

一連の状況を垣間見ていたハーモニカの男。彼はマクベイン父子を襲ったのがシャイアン一味ではないことを嗅ぎつけていました。

そんな折、マクベイン家で暮らすジルの下に数人の男たちが訪ねて来ます。彼らを束ねる男こそが、シャイアンであり、それは銃撃戦の後に酒場にやって来た例の男その人でした。

彼は自分が山賊であることを認めながらも、マクベイン父子を襲った一件には関わっていないことと、罠にはめられたことを主張し、本当の犯人らを見つけるとジルに約束しました。

一方その頃、本当の犯人であるフランクは、鉄道を運営するモートン(ガブリエル・フェルゼッティ)と会っていました。

実は、モートンは鉄道の拡張のためにマクベインが所有する土地を狙っており、そのための手はずをフランクに依頼していたのでした。

殺せとまでは言っていないとフランクを責めるモートン。しかし、そんなことは気にもしないフランクは、「いいから任せろ」とばかりに逆にモートンを威圧します。

やがて、フランクとモートンが列車の中をアジトとしているのを突き止めたハーモニカの男は、その中に侵入するも捕らえられてしまいます。

謎の男の侵入に首をひねりつつも状況を危惧したフランクは、事態の仕上げを急ぐべくジルの下へ向かいました。その様子を窺っていたシャイアンらは、列車に乗り込んでハーモニカの男を救出することに成功します。

そこでハーモニカの男は、シャイアンに事情を語りました。マクベインが鉄道会社の圧力に屈せずに、自らの手で駅を作って周辺の発展を試みていたこと、彼がそれほど強固な意思の持ち主であったこと・・・。

その志を聞かされたシャイアンは、ハーモニカの男に力を貸すことを約束します。

一方、ジルの下を訪ねたフランクは、「女手ひとつではどうにもならない」と、土地を手放すようそそのかします。いずれこの土地を離れるつもりでいたジルは、彼の策略にまんまと乗って土地を競売に掛けることに同意するのですが・・・。

はてさて、

謎のハーモニカの男の正体は何者なのか?

ジルや土地の行方は?

そして、ならず者フランクとの決着は?

 

※ 【ネタバレ注意!】これより先には、物語の結末が含まれています。映画本編でストーリー展開を楽しみたい方はご用心願います。

ジルの土地の競売では、フランクが事前の策略で設定した価格によって落札されようとしていました。そこに突如、ハーモニカの男が「5000ドル」という想定を上回る価格を告げる声とともに割って入ります。

実はこの5000ドルは、山賊シャイアンに賭けられた懸賞金で、彼を保安官に引き渡すことで得られた金でした。

土地の競り落としに失敗したフランクは怒り心頭でその場を後にしますが、直後にモートンの差し金で送り込まれた連中に襲撃されます。モートンにとってフランクは、もはや邪魔な存在でしかなかったのです。

ところが、ここにもなぜか割って入るハーモニカの男。いよいよフランクはハーモニカの男の思惑が分からなくなり、混乱の表情を浮かべます。

一方、保安官の手に渡ったシャイアンは護送中に脱走し、手下とともにフランクのアジトに向かっていました。目的はもちろん、フランクの組織を一網打尽にすることです。

そう、一度は保安官の下に捕まったのも、懸賞金を得るためにハーモニカの男と仕組んだ計画だったのです。

その後にアジトに戻ったフランクが目にしたものは、手下の死体の山と息も絶え絶えのモートンの姿でした。

マクベイン家の周辺では、彼の意思に賛同した人々と共に鉄道建設の作業に加わるハーモニカの男の姿がありました。

そこへ姿を現したフランク。それと前後するように駆けつけたシャイアンは、フランク一味との銃撃戦で深手を負っている様子でした。

ハーモニカの男に歩み寄り、決闘を申し込むフランク。時が熟したとばかりに対峙する2人。そして漂うハーモニカの音色・・・。

やがて響き渡る銃声とともに膝をつくハーモニカの男でしたが、致命傷を負ったのはフランクの方でした。崩れ落ちたフランクの下に歩み寄ったハーモニカの男は、死の間際にあるフランクの口にハーモニカを咥えさせます。

その時、フランクは過去に男を殺害した光景を思い出しました。そして、その男の弟こそが目の前にいるハーモニカの男であることを悟りながら息を引き取ったのでした。

あの時、ハーモニカの男がモートンらに襲撃されたフランクを守ったのは、自らの手でフランクに復讐を果たすためだったのです。

やがて旅立っていくハーモニカの男。その後を追うシャイアンでしたが、彼もまた負傷によって事切れます。その亡骸とともに去って行くハーモニカの男は、いったいどこへ向かうのか・・・?

 

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映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』の感想と評価

セルジオ・レオーネ監督と言えば、クリント・イーストウッドが主演した『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』などを連想する方が多いことと思いますが、同じようなテイストを本作に期待した場合には、ある意味で裏切られることになります。

特に所々の情景描写・・・。以前からその傾向はあったものの、今作のそれは比較にならないほど執拗で、人によっては緊張感を維持できずに疲れてしまうかも知れません。

顕著なのは冒頭のシーンです。閑散とした荒野の駅で、ただただ“何か”を待ち続けるだけの3人のガンマンたちの姿を映すために回されたカメラ。大画面に必要以上(?)にどアップで映し出されるガンマンの顔。

セルジオ・レオーネ作品に対する固定観念を捨てて観られれば、これほど緻密に計算されたオープニングは類を見ないだろうというほど見事なシーンなのですが、「いきなり眠くなった」などの意見が多いのも事実です。

しかし、先述の「ドル箱三部作」の上を行く作品を目指したレオーネ監督にとっては、本来自分が撮りたかった映像を具現化したものが、本作全編に漂う静寂や情景描写だったのかも知れません。

事実、このような作風は『夕陽のギャングたち』(1971)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)といった後の作品にも共通して見られる、レオーネ作品の特徴にもなって行きました。

これらの演出に尺を費やすことは無駄ではなく、登場人物が過ごして来たであろう時間の経過をも物語っているように思います。

そこに小出しにされるフラッシュバック手法を用いることで、ハーモニカの男がフランクの手によって兄を失い、その後過酷な生活を余儀なくされつつも、その間、復讐を胸に銃の腕を磨いて来たことを伺わせ、徐々に観る者の脳内を整理しつつ、衝撃のラストで完全な種明かしをして見せます。

本編を何度か観てみると、レオーネの演出も脚本も、緻密な計算の上に成り立っていることに気付けるはずです。

既に『ウエスタン』という邦題でDVD化されている本作ですが、オリジナルの尺で劇場で鑑賞できる貴重な機会に、真のレオーネ節とも言える本作を堪能して頂きたいものです。

まとめ

原案に参加したベルナルド・ベルトルッチいわく、本作には歴代の西部劇のオマージュが随所に盛り込まれているんだそうです。

当時はハリウッド西部劇が徐々に勢いを失いつつあった時期でもあり、レオーネ監督もまた衰退しつつある西部劇への愛惜を込めたと言われています。

それだけに、1968年公開当時に『ウエスタン』という邦題が付けられたことにも不思議な巡り合わせというか、縁のようなものを感じます。

しかし今回、あらためて『Once Upon a Time in the West』という原題を活かして公開されることで、後に続く『夕陽のギャングたち』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』までの「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」が、ここ日本においても完結することになるわけで、映画ファンにとっては特別な感慨を抱かずにはいられません。

スタンリー・キューブリック、ヴィム・ヴェンダース、ジョン・ブアマン、ジョージ・ルーカス、マーティン・スコセッシ、ジョン・カーペンターといった名だたる監督たちが称賛する、映画史に名を刻まれた名作を、この機会にぜひ劇場で堪能したいものです。

当時のアメリカでは観客ウケが悪かったと言いますが、個人的にはヘンリー・フォンダの悪役ぶりは最高でした♪

 

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